「退去時の原状回復費用として、500万円の見積もりが来た。入居時の内装工事は300万だったのに……」
「壁紙を貼り替えるだけで、なぜ桁違いの金額になるのか?」
多くの企業がオフィス移転の際に直面する最大のトラブル、それが「原状回復費用の高騰」です。
実は、日本のオフィス賃貸契約には、借主に不利になりやすい商習慣(指定業者制度など)が根強く残っています。
しかし、請求された金額を言われるがままに支払う必要はありません。
正しい知識と交渉術を持てば、数十万、時には数百万単位での減額も夢ではないのです。
この記事では、オフィス移転のプロであるミツバチ引越センターが、業界の「裏側」である原状回復の仕組みと、適正価格で退去するための交渉テクニックを徹底解説します。
オフィスの「原状回復」とは?住宅との決定的な違い
まず、マンションなどの「居住用賃貸」と「事業用(オフィス)賃貸」では、原状回復のルールが根本的に異なることを理解しましょう。
住宅の場合:ガイドラインが借主を守ってくれる
国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」により、「経年変化(日焼けなど)」や「通常損耗(家具の設置跡など)」の補修費用は、原則としてオーナー負担(家賃に含まれる)とされています。
借主が負担するのは、わざと壊した部分(故意・過失)だけです。
オフィスの場合:100%借主負担が基本
一方、オフィスなどの事業用物件は、このガイドラインの適用外となるケースがほとんどです。
多くの賃貸借契約書には「通常損耗を含む全てを借主の負担で原状回復する」といった特約が盛り込まれています。
つまり、「普通に使っていて汚れた壁紙」も「色あせた床のタイルカーペット」も、すべて新品に交換して返さなければなりません。
さらに、「スケルトン戻し(内装を全て解体してコンクリート剥き出しにする)」契約の場合は、解体費用も上乗せされます。
【重要】原状回復の範囲は契約書で決まる
原状回復の具体的な範囲は、賃貸借契約書に記載されている特約によって詳細が定められます。
「スケルトン戻し」なのか「内装を残したまま」なのか、「通常損耗も借主負担」なのかなど、契約内容の確認が最も重要です。
入居時に契約書をしっかり確認し、不明な点は必ず貸主に質問しましょう。
【2026年最新】原状回復費用の相場(坪単価)
見積もりが高いかどうかを判断するには、「相場」を知ることが第一歩です。
以下は、現在の市場価格(資材高騰後)の目安です。
| ビルグレード・規模 | 坪単価の目安 | 20坪の場合 | 50坪の場合 |
|---|---|---|---|
| 小規模ビル・マンション (20坪未満) |
2.5万〜7.7万円 | 50万〜154万円 | – |
| 中規模オフィスビル (20〜50坪) |
4万〜11万円 | 80万〜220万円 | 200万〜550万円 |
| 大規模・ハイグレードビル (100坪以上) |
8万〜16.5万円以上 | – | 400万〜825万円以上 |
【注意】これらはあくまで「工事費」の目安です
この坪単価には、以下の費用が含まれていません。
– 産業廃棄物処理費用
– 諸経費(現場管理費、交通費など)
– 養生費(エレベーターや共用部の保護)
実際の見積もりでは、これらが加算されるため、最終的な金額は坪単価の1.2〜1.5倍程度になることが一般的です。
スケルトン戻しの場合、さらに高額に
「スケルトン戻し」とは、内装を全て解体してコンクリート剥き出しの状態に戻すことです。
この場合、通常の原状回復費用に加えて、以下の費用が発生します。
– 間仕切り壁の解体費用
– 天井の解体費用
– 床材(タイルカーペット、フローリングなど)の撤去費用
– 電気配線、電話配線の撤去費用
– 照明器具、エアコンなどの設備の撤去費用
スケルトン戻しの場合、坪単価は10万〜20万円以上になることも珍しくありません。
なぜ見積もり額が跳ね上がるのか?「B工事」の罠
相場を知っても、「うちは坪20万で見積もりが来た」というケースが後を絶ちません。
その元凶とも言えるのが「B工事(指定業者制度)」です。
指定業者(B工事)とは?
ビルオーナーが指定した業者しか工事ができない契約区分のことです。
オーナー側の論理としては、「見ず知らずの業者に工事をさせて、ビル全体の設備(防災や空調)を壊されたら困る」という守りの意味があります。
競争がない=言い値になる
借主にとっては、「業者を選べない」=「相見積もりが取れない」ことを意味します。
いわば独占企業状態なので、業者は価格競争をする必要がありません。
その結果、市場価格の1.5倍〜2倍近い見積もりが出てくることが常態化しています。
【実例】B工事で坪単価が2倍に
ある企業が50坪のオフィスを退去する際、B工事の指定業者から「坪単価15万円、合計750万円」の見積もりが提示されました。
しかし、同じ工事内容を別の業者(C工事)に見積もってもらったところ、「坪単価7万円、合計350万円」という結果に。
B工事とC工事で、なんと400万円もの差額が発生しました。
この企業は、オーナーと交渉し、一部工事をC工事に変更することで、最終的に200万円の減額に成功しました。
原状回復工事の流れとスケジュール
原状回復工事は、契約満了の6ヶ月前から準備を始めるのが理想です。
以下は、一般的な流れとスケジュールです。
6ヶ月前:契約書の確認と貸主への連絡
まず、賃貸借契約書で原状回復義務の範囲、指定業者の有無、費用の負担区分などを確認します。
その上で、貸主(オーナーまたは管理会社)に退去の意向を伝えます。
この時点で、原状回復の範囲や指定業者について、詳しく確認しましょう。
5ヶ月前:施工業者への連絡と現地調査
指定業者がいる場合はその業者に、いない場合は複数の業者に連絡し、現地調査と見積もりを依頼します。
現地調査では、以下の点を確認してもらいます。
– 原状回復の範囲(どこまで解体・補修するか)
– 工事の内容(壁紙の張り替え、床の補修、配線の撤去など)
– 工事期間(何日かかるか)
– 産業廃棄物の量(処理費用の見積もり)
4ヶ月前:見積もりの精査と交渉
見積もりが届いたら、必ず詳細な内訳を確認しましょう。
「一式」と書かれていたら要注意です。必ず詳細な内訳を出してもらいましょう。
見積もりが高額だと感じた場合は、この時点で交渉を開始します。
3ヶ月前:不用品の処分の手配
原状回復工事の前に、オフィス内の不用品を処分します。
不用品の処分を工事前に完了させることで、産業廃棄物処理費を削減できます。
2ヶ月前:工事の発注
見積もり内容とスケジュールを確認し、工事を発注します。
契約満了の約2ヶ月前には発注を完了させましょう。
1ヶ月前:工事の着工
契約満了の1ヶ月前には工事を着工します。
工事は原則として契約期間内に完了させる必要があります。
契約期間を過ぎると、日割りで賃料が発生するため、スケジュール管理が重要です。
契約満了日:物件の引き渡し
工事完了後、物件を貸主に引き渡します。
引き渡し時には、貸主と一緒に物件の状態を確認し、原状回復が完了していることを確認してもらいます。
問題がなければ、敷金が返還されます(原状回復費用を差し引いた金額)。
【スケジュールチェックリスト】
- 6ヶ月前:契約書の確認と貸主への連絡
- 5ヶ月前:施工業者への連絡と現地調査
- 4ヶ月前:見積もりの精査と交渉
- 3ヶ月前:不用品の処分の手配
- 2ヶ月前:工事の発注
- 1ヶ月前:工事の着工
- 契約満了日:物件の引き渡し
このスケジュールを守ることで、慌てずに原状回復工事を進めることができます。
諦めないで!原状回復費を安くする3つの交渉術
「契約書に書いてあるから」「指定業者だから」と諦めるのは早いです。
以下のステップで、適正価格への交渉を試みましょう。
Technique 1:見積もりの「中身」を精査する
見積書に「一式」と書かれていたら要注意です。必ず詳細な内訳を出してもらいましょう。
チェックすべきは以下のポイントです。
- 工事範囲は正しいか?:共用部(廊下やエレベーターホール)の補修費が含まれていませんか?借手の負担はあくまで「専有部」のみです。
- 単価は適正か?:壁紙(クロス)の平米単価が1500円〜2000円など、異常に高くなっていませんか?(一般的には1000円〜1200円程度)
- 人工(作業員数)は適正か?:50坪の解体に「延べ50人」など、過剰な人数計上がされていませんか?
- 産業廃棄物処理費は適正か?:処理費用が異常に高くなっていませんか?(一般的には1立方メートルあたり2万〜3万円程度)
Technique 2:C工事(借主指定)への変更を打診する
全てをB工事にする必要はありません。
例えば「パーテーションの解体」や「配線の撤去」のような、ビル設備に影響の少ない作業については、「自社で手配した安い業者(C工事)で行いたい」とオーナーに交渉してみましょう。
「信頼できる業者を使います」「何かあったら責任を負います」と説得することで、一部工事区分変更が認められるケースがあります。
Technique 3:「不用品」を減らして産廃費カット
工事費そのものの交渉が難しくても、確実にコストを下げられる部分があります。
それが「廃棄物処理費用」です。
原状回復工事の中で、デスクやロッカーなどの「残置物」の処分を業者に任せると、全て「産業廃棄物」として高額な処理費を請求されます。
これを、工事前に自分たちで(あるいは引越し業者などで)撤去してしまえば、見積もりからその項目をごっそり削ることができます。
【減額交渉の成功事例】
ある企業が30坪のオフィスを退去する際、B工事の指定業者から「300万円」の見積もりが提示されました。
しかし、見積もりを精査したところ、以下の問題点が見つかりました。
1. 共用部(廊下)の補修費が含まれていた(50万円)
2. 壁紙の平米単価が異常に高い(1800円/㎡)
3. 産業廃棄物処理費が過剰に計上されていた(80万円)
この企業は、オーナーと交渉し、以下の対応を行いました。
1. 共用部の補修費を削除(50万円削減)
2. 壁紙の平米単価を適正価格(1200円/㎡)に修正(20万円削減)
3. 不用品を事前に撤去し、産業廃棄物処理費を削減(60万円削減)
最終的に、130万円の減額に成功し、170万円で原状回復工事を完了させました。
ミツバチ引越センターができる「コスト削減」の提案
原状回復費用の悩みは、私たちミツバチ引越センターが最も得意とする分野の一つです。
オフィス移転のプロとして、お客様の負担を最小限に抑えるお手伝いをします。
①引越しと原状回復のスケジュール調整
ミツバチ引越センターでは、引越し作業と原状回復工事のスケジュールを調整し、スムーズな退去をサポートします。
引越しと工事のタイミングを最適化することで、無駄な賃料の発生を防ぎ、工期を短縮できます。
また、不用品の処分を工事前に完了させることで、産業廃棄物処理費を削減できます。
オフィス移転は、引越し、原状回復、新オフィスの内装工事など、複数の作業が同時進行するため、スケジュール管理が非常に重要です。
ミツバチ引越センターでは、これらの作業を一元管理し、最適なタイミングで進行できるようサポートします。
②見積もりのセカンドオピニオン
「この見積もり、高すぎない?」と思ったら、まずはミツバチ引越センターにご相談ください。
見積書のセカンドオピニオンとして、適正価格かどうかを無料で診断します。
業界の裏側を知り尽くしたプロの目で、見積もりの問題点を詳しく指摘します。
よくある質問(FAQ)
Q. 原状回復費用は敷金から差し引かれますか?
A. はい、一般的には敷金から差し引かれます。
原状回復費用は、通常、敷金から差し引かれます。
敷金が原状回復費用を上回る場合は、差額が返還されます。
逆に、原状回復費用が敷金を上回る場合は、差額を追加で支払う必要があります。
Q. スケルトン戻しは必ず必要ですか?
A. 契約書に記載されている場合は必要です。
スケルトン戻しが必要かどうかは、賃貸借契約書に記載されています。
「スケルトン戻し」の特約がある場合は、内装を全て解体してコンクリート剥き出しの状態に戻す必要があります。
ただし、オーナーと交渉することで、スケルトン戻しを免除してもらえるケースもあります。
Q. B工事の指定業者を変更することはできますか?
A. 原則として変更できませんが、交渉次第で一部変更が可能です。
B工事の指定業者は、契約書で定められているため、原則として変更できません。
ただし、オーナーと交渉することで、一部工事をC工事(借主指定)に変更できるケースがあります。
特に、ビル設備に影響の少ない作業(パーテーションの解体、配線の撤去など)は、交渉の余地があります。
Q. 原状回復工事の期間はどれくらいですか?
A. オフィスの規模によりますが、一般的には1週間〜1ヶ月程度です。
小規模オフィス(20坪未満):1週間〜2週間
中規模オフィス(20〜50坪):2週間〜3週間
大規模オフィス(100坪以上):3週間〜1ヶ月
スケルトン戻しの場合は、さらに時間がかかることがあります。
Q. 原状回復費用を削減するために、自分たちで工事をすることはできますか?
A. 原則としてできません。
原状回復工事は、専門の業者が行う必要があります。
自分たちで工事を行うと、ビル設備を破損するリスクがあり、オーナーから損害賠償を請求される可能性があります。
ただし、不用品の撤去や清掃など、簡単な作業は自分たちで行うことができます。
Q. 原状回復費用の見積もりが高額すぎる場合、どうすればいいですか?
A. まずは見積もりの詳細を確認し、オーナーと交渉しましょう。
見積もりが高額だと感じた場合は、以下の対応を行いましょう。
1. 見積もりの詳細な内訳を確認する
2. 相場と比較して、異常に高い項目を特定する
3. オーナーと交渉し、減額を依頼する
4. 一部工事をC工事(借主指定)に変更できないか交渉する
5. 不用品を事前に撤去して、産業廃棄物処理費を削減する
それでも納得がいかない場合は、専門家(オフィス移転コンサルタント、弁護士など)に相談しましょう。
原状回復トラブルを未然に防ぐための入居時チェックリスト
原状回復費用のトラブルを避けるためには、退去時だけでなく、入居時の対策が非常に重要です。
以下のチェックリストを参考に、入居時から原状回復に備えましょう。
チェック1:契約書の原状回復条項を徹底確認
賃貸借契約書の原状回復条項を、必ず詳細に確認しましょう。
特に、以下の点を確認してください。
– 原状回復の範囲:「スケルトン戻し」なのか「内装を残したまま」なのか
– 通常損耗の扱い:「通常損耗も借主負担」なのか「オーナー負担」なのか
– 指定業者の有無:B工事(指定業者)なのかC工事(借主指定)なのか
– 費用の負担区分:どこまでが借主負担で、どこからがオーナー負担なのか
不明な点があれば、必ず貸主に質問し、書面で回答をもらいましょう。
口頭での約束は、後でトラブルになる可能性があります。
チェック2:入居時の状態を写真・動画で記録
入居時の物件の状態を、写真や動画で詳細に記録しておきましょう。
特に、以下の箇所を重点的に記録してください。
– 壁紙の汚れ、傷、剥がれ
– 床のタイルカーペットの汚れ、傷
– 天井の汚れ、シミ
– ドア、窓の傷、破損
– 照明器具、エアコンなどの設備の状態
これらの記録は、退去時に「入居前からあった傷」を証明するための重要な証拠になります。
日付入りの写真・動画を撮影し、クラウドストレージなどに保存しておきましょう。
チェック3:指定業者の連絡先を確認
B工事(指定業者)がある場合は、入居時に連絡先を確認しておきましょう。
退去時に慌てて連絡先を探すと、時間がかかり、スケジュールが遅れる可能性があります。
また、可能であれば、入居時に指定業者に「退去時の原状回復費用の概算」を聞いておくと、退去時の見積もりと比較できます。
チェック4:内装工事の記録を保管
入居後に内装工事(パーテーションの設置、壁紙の張り替えなど)を行った場合は、工事の記録を保管しておきましょう。
特に、以下の記録を保管してください。
– 工事の見積書、契約書
– 工事前・工事後の写真
– 工事業者の連絡先
これらの記録は、退去時に「どこまでが入居後の工事で、どこまでが原状回復の範囲なのか」を明確にするために役立ちます。
チェック5:定期的なメンテナンスを実施
オフィスを長期間使用する場合は、定期的なメンテナンスを実施しましょう。
特に、以下のメンテナンスを定期的に行うことで、退去時の原状回復費用を削減できます。
– 壁紙の清掃(年1回程度)
– 床のタイルカーペットの清掃(年2回程度)
– 照明器具、エアコンなどの設備の点検(年1回程度)
定期的なメンテナンスにより、「通常損耗」を最小限に抑えることができます。
また、メンテナンスの記録を保管しておくことで、「適切に管理していた」ことを証明できます。
【入居時チェックリスト】
- 契約書の原状回復条項を徹底確認した
- 入居時の状態を写真・動画で記録した
- 指定業者の連絡先を確認した
- 内装工事の記録を保管している
- 定期的なメンテナンスを実施している
これらのチェックリストを実施することで、退去時の原状回復トラブルを未然に防ぐことができます。
まとめ:知識は武器になる
原状回復費用は、知識がないと「搾取」されやすいポイントです。
しかし、中身を理解して論理的に指摘すれば、必ず減額の余地は生まれます。
原状回復費用を削減するための5つのポイント(まとめ)
- 契約書を確認する:原状回復の範囲、指定業者の有無、費用の負担区分を確認
- 相場を知る:坪単価の相場を知り、見積もりが適正かどうかを判断
- 見積もりを精査する:詳細な内訳を確認し、異常に高い項目を特定
- 交渉する:オーナーと交渉し、減額またはC工事への変更を依頼
- 不用品を事前に撤去する:産業廃棄物処理費を削減する
「この見積もり、高すぎない?」と思ったら。
まずはミツバチ引越センターにご相談ください。
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原状回復費用は、適切な知識と交渉術があれば、必ず削減できます。諦めずに、まずは相談してみましょう。
ミツバチ引越センターが、あなたの会社の利益を全力で守ります。
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