引越しで家電を安全に運ぶには、家電ごとに必要な準備を行い、新居の搬入経路と設置条件を事前に確認することが大切です。
特に冷蔵庫と洗濯機は、荷物を箱へ詰めるだけでは準備が終わりません。冷蔵庫は食品の整理、製氷機の水抜き、霜取り、排水が必要です。洗濯機は給水・排水ホースの水抜きを行い、ドラム式の場合は輸送用固定ボルトも確認します。
また、本体が玄関を通っても、廊下の曲がり角や階段で方向転換できない、新居の防水パンへ洗濯機が収まらないといった問題が起こることがあります。
この記事では、冷蔵庫・洗濯機・テレビなどを引越しで運ぶ前の準備、梱包方法、運搬時の注意点、自分で運ぶか業者へ依頼するかの判断基準を解説します。
引越しで家電を運ぶ前に確認すること
家電の準備を始める前に、運ぶ物と処分する物を分け、搬入経路と設置場所を確認します。
| 家電 | 引越し前にすること | 主な注意点 |
|---|---|---|
| 冷蔵庫 | 食品整理、製氷停止、水抜き、霜取り、排水 | 横倒しでの保管を避け、設置後に電源を入れる時期は説明書を確認する |
| 洗濯機 | 給水・排水ホースの水抜き、付属品の保管 | ドラム式は輸送用固定ボルトを用意し、防水パンと蛇口の位置も確認する |
| テレビ | 配線を撮影し、ケーブル・スタンド・周辺機器を整理する | 画面へ圧力をかけず、メーカーが指定する向きで運ぶ |
| 電子レンジ | 皿・トレー・網などを取り外して別に包む | 扉が開かないようにし、内部部品を入れたまま運ばない |
| パソコン | データをバックアップし、配線と付属品を整理する | 精密機器として衝撃・振動・水濡れを避ける |
| エアコン | 取り外し・運搬・取り付けの手配を確認する | 配管延長や穴あけなど、追加工事の条件を見積もり時に確認する |
運ぶ家電・買い替える家電・処分する家電を分ける
古い家電や新居に入らない家電をそのまま運ぶと、運搬後に買い替えと処分が必要になり、手間が増えます。
次の項目を確認し、引越し前に判断しましょう。
- 新居の設置スペースへ収まるか
- 玄関・廊下・階段から搬入できるか
- 製造年や故障状況を踏まえて今後も使うか
- 新居のコンセント・蛇口・排水口へ対応するか
- 運搬・取り外し・設置費用と買い替え費用のどちらが適切か
- 東日本と西日本をまたぐ場合、電源周波数へ対応するか
不要な家電や家具を含む荷物の整理は、引越し時の不用品を処分する方法も参考にしてください。
搬入経路を採寸する
搬入経路では、家電本体の幅だけではなく、梱包材や持ち手を含めた大きさと、方向転換するための空間が必要です。
次の場所を採寸します。
- 旧居と新居の玄関扉
- 廊下の幅と曲がり角
- 階段の幅、高さ、踊り場
- 手すりや照明器具の位置
- エレベーターの入口・内部寸法
- ベランダや窓から搬入する場合の開口部
玄関を通っても、L字型の廊下や階段の踊り場で家電を回転できないことがあります。狭い経路や吊り作業の可能性がある場合は、狭い階段で大型家具・家電を搬入する方法をご確認ください。
設置場所の条件を確認する
搬入できることと、問題なく設置・使用できることは別です。
設置場所では、次の項目を確認します。
- 家電本体の幅・高さ・奥行き
- 扉や引き出しを開くための空間
- 放熱や点検に必要な周囲の空間
- コンセントとアース端子の位置
- 洗濯機の防水パン、蛇口、排水口
- 冷蔵庫や洗濯機の床面が水平か
- 床の耐荷重や設置禁止場所
必要な空間は製品によって異なるため、取扱説明書やメーカーの設置説明書を確認してください。
取扱説明書と付属部品を確認する
家電の運搬方法や設置後の使用開始時期は、製品によって異なります。
引越し前に型番を確認し、取扱説明書を用意します。紙の説明書が見つからない場合は、メーカー公式サイトから型番で検索できることがあります。
特に保管しておきたい付属品は次のとおりです。
- ドラム式洗濯機の輸送用固定ボルト
- テレビのスタンド・固定ネジ
- 冷蔵庫の給水タンク・製氷関連部品
- エアコンのリモコン
- 家電の電源コード・アース線
- 購入時の専用緩衝材
長距離引越しでは電源周波数を確認する
東日本と西日本をまたぐ引越しでは、家電が50Hz・60Hzの両方へ対応しているか確認します。
本体の銘板や取扱説明書に「50/60Hz」と記載されていれば、両方の地域で使える製品です。一方、いずれか一方の周波数だけが記載されている製品は、そのまま使用できない場合があります。
判断できない場合は、メーカーや販売店へ型番を伝えて確認してください。
家電別|引越し前の準備と運搬時の注意点
冷蔵庫の水抜き・霜取りと運搬方法
冷蔵庫は、庫内の食品を出しただけでは運搬準備が完了しません。製氷機や蒸発皿などに残った水が運搬中に漏れる可能性があります。
冷蔵庫を運ぶ前の準備
- 庫内の食品と飲み物を整理する
- 自動製氷機を停止する
- 給水タンクと製氷皿の水・氷を捨てる
- 取扱説明書に従って電源プラグを抜く
- 冷凍室の霜を溶かす
- 蒸発皿や排水口の水を抜く
- 庫内の棚・ケース・扉を固定する
電源を抜く時期や排水方法は機種によって異なります。「引越し前日の何時」と一律に決めず、霜取りと排水が完了する時間を見込んで、取扱説明書や引越し業者の案内に従ってください。
冷蔵庫を運ぶときの注意点
冷蔵庫は立てた状態で運搬することを基本とし、横倒しでの保管・輸送は避けます。階段や段差では一時的に傾ける場合があるため、どこまで傾けられるかを自分で判断せず、業者やメーカーへ確認してください。
ドアの固定に粘着力の強いテープを直接貼ると、表面を傷める可能性があります。自分で固定する場合も、取扱説明書で指定された方法を確認しましょう。
設置後に電源を入れるタイミング
設置後に電源を入れるまでの時間は、機種や運搬状態によって異なります。すぐに電源を入れられる製品もあれば、一定時間置くよう案内される製品もあります。
「必ず数時間待つ」と一律に判断せず、取扱説明書やメーカーの案内を確認してください。
外部参考:パナソニック「お引越しのときに」
洗濯機の水抜きと輸送用固定ボルト
洗濯機は、給水ホース・本体・排水ホースに残っている水を抜いてから運びます。水が残っていると、運搬中に漏れて家財や床を濡らす可能性があります。
洗濯機を運ぶ前の準備
- 洗濯槽の中を空にする
- 蛇口を閉める
- 取扱説明書に従い、給水ホースの水を抜く
- 本体内部と排水ホースの水を抜く
- 電源コード、アース線、ホースをまとめる
- 給水栓つぎてなどの付属品を保管する
詳しい手順は、引越し前に行う洗濯機の水抜き方法で解説しています。
ドラム式洗濯機は輸送用固定ボルトを確認する
ドラム式洗濯機では、輸送中にドラムが動くのを防ぐため、メーカー指定の輸送用固定ボルトが必要です。
「固定用のネジやテープ」で代用せず、製品に対応した純正部品と取り付け方法を確認してください。固定ボルトを紛失している場合は、引越し日までにメーカーや販売店へ相談します。
新居の防水パン・蛇口・排水口を確認する
洗濯機本体が置けても、次の条件が合わないと設置できない場合があります。
- 防水パンの内寸
- 本体の脚が置かれる位置
- 蛇口の高さと形状
- 給水ホースの長さ
- 排水口の位置
- 扉を開いたときの奥行き
- 左右・背面に必要な空間
洗濯機の取り付けを依頼する場合は、運搬費だけでなく、給排水接続、部品交換、かさ上げ台などの追加費用が発生する条件も確認してください。
テレビ・モニターの梱包方法
テレビやモニターは、画面への衝撃と圧力を避ける必要があります。
- 電源を切り、配線状態を写真に撮る
- 電源コード、アンテナ線、HDMIケーブルを外す
- 外付けハードディスクなどの周辺機器を分ける
- スタンドを外す必要があるか説明書で確認する
- 画面へ直接テープや硬い梱包材を当てない
- 購入時の箱と緩衝材があれば使用する
テレビを運ぶ向きは、メーカーや製品、梱包材によって異なります。「すべてのテレビを必ず同じ向きで運ぶ」とは判断せず、取扱説明書や外箱の表示を確認してください。
元箱がない大型テレビは、自分で段ボールを加工するより、引越し業者へ梱包方法を相談した方が安全です。
電子レンジ・オーブンレンジの梱包方法
電子レンジは、庫内のターンテーブル、角皿、網などを取り外し、1点ずつ包んで別に梱包します。
内部部品を入れたまま運ぶと、庫内で動いて本体や部品を傷つけることがあります。電源コードをまとめ、扉が開かないように保護して、箱の中で本体が動かないようにします。
オーブンレンジは重量がある製品も多いため、持ち上げられる重さか、車両へ安全に固定できるかも確認してください。
パソコン・プリンターなどの精密機器
パソコンは、運搬前に必要なデータを別の記録媒体やクラウドへバックアップします。
デスクトップパソコン、モニター、プリンターは、購入時の箱があれば利用し、箱の中で動かないように固定してください。
プリンターは、インクやトナーの取り扱いを取扱説明書で確認します。傾けるとインク漏れが起こる製品もあるため、天地無用や上方向の表示を付けるだけでなく、袋で保護し、業者へ中身を伝えます。
向きの表示方法は、天地無用の意味と正しい表示方法も参考になります。
エアコンの取り外し・取り付け
エアコンの取り外しと取り付けには、配管や冷媒に関する作業が伴います。自分で無理に取り外さず、引越し業者、家電量販店、工事業者などへ相談してください。
見積もりでは、次の内容を確認します。
- 取り外し・取り付けの基本料金
- 配管の長さと再利用の可否
- 配管延長や交換の料金
- 壁穴や専用コンセントの有無
- 室外機の設置場所
- 高所作業や特殊な架台の料金
- 工事日と引越し日の関係
家電の設置をどこへ依頼するか迷う場合は、家電設置を引越し業者・家電量販店・専門業者へ依頼する違いをご確認ください。
炊飯器・掃除機などの小型家電
小型家電は自分で梱包しやすい一方、内部の部品や付属品を入れたままにすると破損する場合があります。
- 炊飯器は内釜と付属品を取り外して包む
- 電気ケトルや加湿器は水を完全に抜く
- 掃除機はダストボックスのごみを捨てる
- コードレス製品は充電器も一緒にまとめる
- ガラス製の部品は1点ずつ緩衝材で包む
箱には家電名と設置する部屋を書き、重い箱を上へ積まないようにしてください。
家電を自分で運ぶか引越し業者へ依頼するか
自分で運びやすい家電
自分で持ち上げられ、車内で固定できる小型家電は、自分で運べる場合があります。
- 炊飯器
- トースター
- 小型の電子レンジ
- ドライヤー
- 小型の掃除機
- ゲーム機
ただし、落下、雨、水濡れ、車内での転倒を防ぐため、箱の中と車両内の両方で固定します。
業者へ依頼した方がよい家電
次のような家電は、無理に自分で運ばず、引越し業者や専門業者への依頼を検討します。
- 冷蔵庫
- 縦型・ドラム式洗濯機
- 大型テレビ
- 重量のあるオーブンレンジ
- エアコン
- 大型マッサージチェア
- 高価な精密機器
大型家電は、本体の破損だけでなく、落下によるけが、床・壁・階段の損傷、車両内での転倒などの危険があります。
大型家具・家電をまとめて運ぶ際の確認事項は、大型家具・家電の引越し方法も参考にしてください。
大型家電だけを依頼できるか確認する
荷物の大部分を自分で運び、冷蔵庫や洗濯機だけを引越し業者へ依頼できる場合があります。
ただし、最低料金、対応エリア、階段作業、取り外し・設置、吊り作業などの条件は業者によって異なります。家電の種類・サイズ・台数と建物条件を伝えて確認してください。
新居で家電を設置するときの注意点
冷蔵庫の電源を入れる時期は説明書で確認する
冷蔵庫を設置したら、本体が安定しているか、電源コードが下敷きになっていないか、周囲に必要な放熱スペースがあるかを確認します。
電源を入れる時期は製品や運搬状態によって異なります。取扱説明書やメーカーの案内に従ってください。
洗濯機は給排水接続後に試運転する
洗濯機は、水平に設置し、給水ホース・排水ホース・アース線を接続します。
接続後は短時間の試運転を行い、次の点を確認します。
- 蛇口と給水ホースの接続部から水が漏れていないか
- 排水ホースが抜けたり折れたりしていないか
- 排水口から逆流していないか
- 本体が大きく揺れていないか
- 異音やエラー表示がないか
ドラム式洗濯機の輸送用固定ボルトは、使用前に必ず取り外します。
コンセント・アース・放熱スペースを確認する
延長コードやたこ足配線を避けるべき家電もあります。取扱説明書で、専用回路、アース接続、設置間隔などを確認してください。
冷蔵庫や電子レンジなどは、壁との間に必要な放熱スペースが製品ごとに指定されています。見た目だけで隙間を判断せず、メーカー指定の寸法に合わせます。
家電を持っていかない場合の処分方法
エアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機の家庭用機器は、家電リサイクル法の対象です。
これらは、一般的な粗大ごみと同じ方法では処分できません。買い替える店舗、以前購入した店舗、自治体が案内する方法などを確認し、リサイクル料金と収集運搬料金を支払って処分する場合があります。
リサイクル料金は品目やメーカーなどによって異なります。製品のメーカー名・型番・冷蔵庫の容量・テレビの大きさを確認しておきましょう。
外部参考:家電製品協会 家電リサイクル券センター
エアコン・テレビ・冷蔵庫・洗濯機以外の小型家電は、自治体の分別ルール、販売店の回収、認定事業者などの方法を確認してください。
運搬後に家電が故障・破損していた場合
引越し前後の動作と外観を確認する
引越し前に家電が正常に動いていたか確認し、本体の傷やへこみを写真に残します。
引越し後は、取扱説明書に従って設置・接続したうえで、動作を確認してください。すぐ使わない家電も、外観や付属品の不足を早めに確認します。
破損や故障を見つけたら記録する
破損を見つけた場合は、次の状態を撮影します。
- 家電全体
- 傷・へこみ・割れの近接写真
- 梱包材や外箱の状態
- 設置場所と接続状態
- エラー表示
外箱や梱包材は、確認が終わるまで処分しないでください。
引越し業者へ早めに連絡する
運搬中の破損や故障が疑われる場合は、できるだけ早く引越し業者へ連絡します。
補償対象になるかは、故障原因、運搬前の状態、自己梱包かどうか、申告内容、契約条件などをもとに判断されます。
引越し時の補償や連絡方法は、引越しトラブルを防ぐ方法も参考になります。
家電の引越しに関するよくある質問
冷蔵庫の電源はいつ切ればよいですか?
製氷機の水抜き、霜取り、排水が引越し作業までに終わるように電源を切ります。必要な時間は機種によって異なるため、取扱説明書と引越し業者の案内を確認してください。
冷蔵庫は設置後すぐに電源を入れられますか?
製品や運搬状態によって異なります。すぐに電源を入れられる機種もあるため、「必ず数時間待つ」と判断せず、メーカーの案内に従ってください。
洗濯機の水抜きはいつ行いますか?
引越し直前まで洗濯機を使う場合は、最後の洗濯が終わった後に行います。作業時間と乾燥時間を確保できるよう、前日までに済ませると慌てにくくなります。
ドラム式洗濯機の固定ボルトがありません
製品に対応する輸送用固定ボルトをメーカーや販売店へ確認してください。任意のネジやテープで代用しないでください。
冷蔵庫や洗濯機を自家用車で運べますか?
車両の荷室へ立てた状態で積載・固定でき、積み降ろしも安全に行える場合に限られます。横倒しになる、車外へはみ出す、固定できない、重量物を安全に持ち上げられない場合は業者へ依頼してください。
大型家電だけ引越し業者へ依頼できますか?
対応している業者はあります。ただし、最低料金、対応エリア、設置作業、階段作業などの条件が異なるため、家電の種類・台数・サイズを伝えて見積もりを確認してください。
家電の取り外し・取り付けも引越し料金に含まれますか?
業者や契約内容によって異なります。洗濯機の接続、エアコン工事、食器洗い乾燥機の取り外しなどは、別料金や専門業者の手配になる場合があります。
まとめ:家電ごとの準備と搬入条件を事前に確認しよう
引越しで家電を安全に運ぶには、家電の種類に合った準備と、搬入経路・設置条件の確認が必要です。
- 冷蔵庫は食品整理、製氷機の水抜き、霜取り、排水を行う
- 洗濯機は給排水の水抜きを行い、ドラム式は輸送用固定ボルトを用意する
- テレビは配線を撮影し、画面へ圧力をかけず、指定された向きで運ぶ
- 玄関・廊下・階段だけでなく、曲がり角と設置場所も採寸する
- 設置後の電源投入や接続方法は取扱説明書を確認する
- 大型・重量家電を無理に自分で運ばない
- 処分する家電が家電リサイクル法の対象か確認する
家電の型番、サイズ、搬入経路、設置場所の写真を準備しておくと、引越し業者との打ち合わせを進めやすくなります。

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